M&A営業は激務と言われますが、人気の職種です。
高収入が期待できるのはもちろん、企業の成長に貢献できるやりがいも大きな魅力です。
この記事では、M&A営業職が人気を集める理由について詳しく解説します。
また、具体的な年収やワークライフバランスに関する情報も紹介していきます。
実際の転職者の体験談を通じて、転職活動に役立つ具体的なヒントを得られますので、ぜひ最後までお読みください。
M&A営業職が抱える4つのストレス
まずはじめに、M&A営業職が激務と言われる理由をご紹介します。
成果主義によるプレッシャー
M&A営業職が激務と言われる1つ目の理由は、「成果主義によるプレッシャー」です。
営業職では、常に成果を出し続けることが求められます。そのため、日々大きなプレッシャーを感じることになります。
例えば、成功報酬が多くを占めるため、案件が成立しないと収入が大幅に減少します。
このような状況では、成績が悪いと評価が下がることもあり、精神的な負担が増します。
競争が激しく、個人の業績が直接評価に影響するため、結果を求められる環境で働くことは大きなストレスの原因となるでしょう。
インセンティブ制度の影響
2つ目の理由は「インセンティブ制度の影響」です。
M&A営業では、案件が成立すると、1,000万円を超えるボーナスを得ることもあります。
このインセンティブによって、成果を上げるモチベーションが高まります。
しかし、成果を出せないと収入が不安定になるというデメリットも存在します。
例えば、案件がうまく進まない場合、長時間働いても報酬が得られないことがあります。
その結果、プレッシャーやストレスが増してしまうこともあるでしょう。
インセンティブ制度のメリットとデメリットを理解し、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
長時間労働と過重労働
3つ目の理由は「長時間労働と過重労働」です。
売却案件を担当した営業スタッフは、契約書の調整や関係者との交渉が続きます。
最初は通常の勤務時間内で進められていた仕事も、契約が難航すると、深夜まで働く日が続くことがあります。
月の残業時間が80時間を超えることもあり、その結果、プライベートの時間がほとんどなくなることも珍しくありません。
長時間労働は、心身に大きな負担をかけ、健康を損なうリスクもあります。
また、精神的なストレスが蓄積すると、仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすようになります。
こうした状況の中、労働環境の改善とともに、効率的に仕事を進める方法を見つけることも重要となるでしょう。
人事評価制度
4つ目の理由は「人事評価制度」です。
M&Aの案件は1年以上かかることもあり、その間に行った地道な作業や努力が適切に評価されないことがあります。
短期的な成果を重視する評価制度では、長期的な案件に取り組む従業員のやる気を失わせてしまいます。
さらに、評価が個人の成績に基づくため、チームワークが損なわれることもあるでしょう。
競争が激しく、他の営業スタッフと協力する余裕がなくなってしまうのです。
また、自分の職務や責任が明確でない場合、適切な評価を受けられない不安を感じることが多く、結果としてモチベーションの低下につながることも少なくありません。
M&A営業が激務でも転職希望者が絶えない理由
ここまでは、M&A営業が激務と言われる理由を紹介してきました。
次からは、それでもなお転職希望者が絶えないM&A営業の魅力についてお伝えします。
高い報酬とインセンティブ
M&A営業が激務であっても、転職希望者が絶えない魅力の1つに「高い報酬とインセンティブ」があります。
例えば、50億円の案件を成功させた営業スタッフは、契約成立に伴い1,500万~3,000万円のボーナスを受け取るでしょう。
このような高額な報酬は、営業職の大きな魅力となっています。
さらに、成功報酬が給与の大部分を占めるため、多くの営業マンはやりがいを感じています。
収入が増える可能性が高い一方で、常に成果が求められるため、挑戦しがいのある職種といえます。
高い報酬を目指す人々にとって、転職希望者が絶えないのも納得です。
専門的なスキルとキャリアアップの機会
M&A営業の魅力の2つ目は「専門的なスキルとキャリアアップの機会」です。
M&A営業に携わることで、財務や法務、税務の知識を深めることができます。
これらのスキルは他の業界でも重宝されるため、今後のキャリアの幅を広げるきっかけになります。
さらに、経験を積むことで、将来的にマネージャーやリーダーとしての役職を目指すことも可能です。
M&A営業で培った専門知識と経験は、ミドル層の転職市場でも高く評価されます。
これにより、さらなる成長を期待できるため、この業界を目指す人が多いのです。
ビジネスの最前線でのやりがい
M&A営業の魅力の3つ目は「ビジネスの最前線でのやりがい」です。
たとえば、企業が後継者不足で悩んでいる場合、事業承継を目的としたM&Aが選ばれることがあります。
このとき、営業担当者は経営者と密に連携し、企業の将来に大きな影響を与える役割を果たします。
実際、ある老舗企業が後継者不在で倒産の危機に直面した際、M&Aによって大手企業に事業を引き継ぐことができました。
その結果、従業員の雇用が守られ、企業のブランドも存続しました。
このように、取引の成功が企業の存続に直結する場面に立ち会えるため、多くの人が業務にやりがいを感じています。
M&A業界の年収とワークライフバランスを徹底比較!
M&A業界の主要5社について、年収や働きやすさを比べてみました。
【M&A主要会社の年収とワークライフバランス比較】
企業名 | 売上高(億円) | 平均年収 | 残業時間(月) | 有休消化率(年) | 平均年齢 |
日本M&Aセンター | 441.4 | 1,331万円 | 45.4 | 52.2% | 34歳 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 208.5 | 2,478万円 | 29.5 | 90.0% | 32.8歳 |
ストライク | 138.3 | 1,438万円 | 34.8 | 57.5% | 36歳 |
M&A総合研究所 | 153 | 3,444万円 | 30 | – | 29歳 |
fundbook | 50.6 | 1,470万円 | 32.2 | 56.2% | 30歳 |
※上図で使用している数値データは、「各企業のホームページ及びIR情報」「エンゲージ会社の評判」「転職会議」調査に基づいています。
年収の比較では、M&A総合研究所が3,444万円と最も高く、M&Aキャピタルパートナーズが2,478万円で続きます。
これは、両社がインセンティブを重視した、報酬体系を採用しているためと考えられます。
働きやすさの指標である残業時間を見ると、M&Aキャピタルパートナーズが月29.5時間で最も少なく、日本M&Aセンターが45.4時間で最も多いです。
交渉が大詰めを迎える繁忙期には、残業時間が増えることも予想されますが、平均的には他業種と比べても特に多いわけではありません。
M&Aキャピタルパートナーズでは、有休消化率が9割を超えるなど、業界の印象に比べてワークライフバランスが整っていることがうかがえます。
また、平均年齢が29歳から36歳と若く、若手が活躍しているのも特徴です。
M&A業界は高収入が期待できる一方で、企業によって労働環境に差があります。
若手の転職希望者にとっても、十分に活躍できる業界と言えるでしょう。
M&A業界に転職してどうだった?成功と失敗の体験談を紹介
さてここで、M&A業界に転職した人の成功体験談と失敗体験談を紹介します。
M&A業界に転職して成功した体験談
- 年齢に関係なく成果に応じた報酬が得られる
- 顧客からの信頼は個人に帰属する
- 女性に働きやすい環境が整備されつつある
年功序列がなく、年齢に関係なく成果が評価される仕組みがあります。
30代の営業スタッフが大規模な案件を成功させた結果、40代の社員よりも高い報酬を得たこともあります。
また残業代もきちんと支給されるため、忙しい時期でも安心して働けます。
しっかりと仕事をすれば、顧客から大きな感謝を受けることができます。
難しい案件を成功させた際には、「あなたのおかげで事業が救われた」と直接感謝の言葉をいただきました。
このような感謝は会社ではなく、営業スタッフ個人に向けられるため、やりがいを感じやすい仕事です。
また、女性社員がリーダーとなるプロジェクトも増えています。
※引用元:「エンゲージ会社の評判」「転職会議」
M&A業界に転職して失敗した体験談
- 実力主義で若手に年収を逆転されることがある
- ワークライフバランスは成果次第で変わる
- 優秀な人は独立していく
完全な実力主義のため、年齢に関係なく成果が評価されます。若手が成果を上げれば、年収がベテラン社員を逆転することも珍しくありません。
30代の社員が大きなM&A案件を成功させ、40代の上司よりも高い年収となります。
また40代以上になると、管理職などのポストが少ないので、会社内での昇進は難しくなります。
その結果、転職を考えなければならない状況に追い込まれる人も少なくありません。
年齢を重ねても成果を出し続けることが求められる、厳しい業界です。
ワークライフバランスは、個人の成果によって大きく変わります。
目標を達成している場合は、出勤を強制されることなく、自由に休暇を取ることができます。
しかし、数字が上がらなければ、どれだけ長時間働いても評価されません。
目標を達成できない営業マンが、休日も返上して働き続けても、成果が出ず報酬が増えなかったこともあります。
経験とスキルを積んだ人ほど、独立して自分の道を切り開いています。
※引用元:「エンゲージ会社の評判」「転職会議」
M&A業界に転職した後のキャリアプランの描き方
さてここからは、M&A業界で得たスキルや経験をもとにした、キャリアプランを紹介します。
M&A業界で得られるスキルと経験
M&A業界で得られるスキルには、「高度なコミュニケーション能力」や「交渉スキル」が含まれます。
これらは、大規模なM&A案件を通じて顧客との信頼関係を築き、取引を成功させることで自然と身に付きます。
さらに、「財務分析」や「市場調査」のスキルもあります。企業の価値を正確に評価し、適切な売却価格を提示できる能力は、他の業界でも重宝されます。
こうしたスキルは、幅広い職種で活かすことができるでしょう。
M&A業界での具体的な転職事例
ある営業担当者が、M&A業界で5年間働いた後、金融業界に転職しました。
彼はM&Aで培った分析力や交渉スキルを活かし、投資銀行のアナリストとして新しいキャリアを築いています。
当時、彼は企業買収案件の価値評価や市場調査を担当し、その結果を基に投資判断をサポートしていました。
このように、M&A業界で得た経験は他の業界でも高く評価され、転職の選択肢が広がることが多いです。
M&A経験者が目指すべき職種
M&A業界で得たスキルは、さまざまな職種で活かすことができます。
M&A経験者は、金融機関のアナリストやコンサルタント、事業会社の経営企画部門、ベンチャーキャピタル、監査法人のアドバイザリー部門、そして企業再生の専門家などへの転職が可能です。
特に、企業の経営改善や新規事業の推進をサポートする役割では、M&Aの知識が非常に役立ちます。
キャリアの次のステップを見極める
M&A業界で培ったスキルや経験は、さまざまな職種に応用できます。
キャリアの次のステップを考える際には、M&Aで得た能力を振り返り、どの方向に進むべきかを見極めることが大切です。
M&A営業の経験は、キャリアの選択肢を広げるだけでなく、自己成長のチャンスにもつながります。
未来を描きながら成長できる点が、M&A営業の大きな魅力といえるでしょう。
M&A営業の1日のスケジュールや、年齢別の転職者の傾向については「M&A営業はきつい6つの理由!転職メリデメ比較と成功する人の特徴」にまとめています。こちらの記事も、参考になればうれしいです。
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M&A営業は激務でも転職人気 まとめ
M&A営業は激務と言われますが、それでも転職希望者が絶えない理由があります。
それは、報酬の高さに加えて、専門的なスキルを身につけられるからです。
ビジネスの最前線でのやりがいも大きく、将来的にはキャリアの幅も広がります。
このような多くのメリットが、M&A営業の魅力と言えるでしょう。
ただし、ここで取り上げたのは、現在の日本の主流といわれるM&A仲介業について。
世界的にみると売り手と買い手との間に立って利益相反となる仲介業というのは見受けられず、日本独自のビジネスモデルです。
実際には、「利益相反」になるという考えからすると望ましくはない形態であることは間違いありません。
業界が未整備だからこその状況ですが、今後は様々な働き方の選択肢が出てくると思います。
なかでも、おすすめなのはM&Aマーケターとしての働き方です。
過剰営業を行うM&A仲介とは異なり、求められる相手に適切な価値を提供するM&Aマーケティング業はM&A業界を変える新しい業態です。
当社では、M&Aを検討している企業や、新規事業としてM&Aを検討される経営者に向けに、個別コンサルティングを提供しています。(M&A仲介は行っておりません)
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インターネットの黎明期から20年間マーケターとして活躍
ウマ娘のサイバーエージェント出身
世界的No.1コンサルティング会社、大手保険会社、大手損保会社、大手人材系上場企業など多様な業種のクライアントに対してマーケティングナレッジを活用して課題解決に貢献する
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